しょうゆペーパー

Soy Sauce Paper

しょうゆペーパーは
250年続く天然醸造の蔵で醤油を作り続ける
「川越 松本醤油」と共に生まれたアップサイクルペーパーです。

江戸時代から続く醤油屋

都心から30分で行ける小江戸として、昔ながらの蔵造りが残る埼玉県川越市。

この地で醤油を作り続けるのが川越 松本醤油。天保元年(1830年)に建造された仕込蔵で今もなお麹と塩水による”もろみ”を製造しています。麹の原料となる大豆と小麦も埼玉県産にこだわり、日本古来の天然醸造によって作られる「はつかり醤油」は木桶で2年間、発酵・熟成させます。

蔵と時間と人の手。丁寧に作られたもろみを絞ることで、香り高い醤油が作られています。今回紹介するしょうゆペーパーは、この絞り終えたもろみから作られます。

紙の画像

土地が仕上げる醤油作り

「この蔵と木桶があるから、この土地で醤油づくりを続けているんです」そう話す代表取締役の松本公夫さん。
蔵には酵母菌や乳酸菌などの微生物が住み着いていて、自然の力で発酵・熟成を繰り返すことで香り高く旨みのある醤油は出来上がるといいます。
大豆を蒸し、炒った小麦と混ぜ合わせて3日間かけて作られる麹。その麹に塩と水を加え、仕込桶で1年間かけて作られるもろみ。蔵に入る時、そして蔵から出る時。静かに一礼をされる姿がとても印象的でした。

繋がりを残し続ける

快く受け入れていただいた工場見学も、松本さんが始めた取り組みでした。工場の入り口にあった地酒の樽は「地酒が無くなると聞いて、せっかくの観光地で地酒が無いのは寂しいから」と事業継承。他にも隣接する建物をガラス工房などに貸し出しながら、地域との繋がりを大切にしています。醤油を絞り終えて乾燥したもろみも群馬県の東毛酪農さんでも牛の飼料として100%利用しています。
元はパティシエを目指していた松本さんは、醤油一筋だった松本醤油で醤油を使った炊き込みご飯や胡麻ドレッシング、そして工場見学など新しい取り組みを続けます。今では息子さんは営業を、娘さんは現場工程を引き受けながら、次の代に想いを繋いでいます。

醤油の香りが広がる紙漉き工房

松本醤油で絞り終えた乾燥したもろみからしょうゆペーパーが生まれ変わる場所は、川越市にある社会福祉法人 皆の郷 「第3川越いもの子作業所」。多機能型障害福祉サービス事業所として、一人ひとりに寄り添いながら仕事をしています。
2009年ごろに紙漉きの装置一式を導入して始まった紙漉き工房。
しょうゆペーパーの紙漉きは、醤油を絞ったもろみのかけら1gを水で溶かし、牛乳パックから作られた手漉き紙の材料に加えるところから始まります。この時に醤油の香りが工房の中へと広がっていきました。
牛乳パックは不要な部分をハサミで切り落とし、鍋で煮て柔らかくしてから絞ってラベルを剥がします。その後手作業で親指程度の大きさに細かく千切り、水と混ぜ合わせることで紙漉きの材料となります。水と混ぜ合わせる撹拌作業は5時間にも及びます。
槽の中に全ての材料を入れて、1度に25枚の名刺を作ることができる木枠を使って手漉き。
工房では3人が異なる作業の担当となり、手漉きをする人、枠を外し水分をとる人、ローラーで薄く伸ばす人が活躍していました。
作業補佐と共に4人で作業を連携させ、完成したしょうゆペーパー。白い紙に現れる醤油の原料となった大豆や小麦の小さなかけらは、手漉きだからこそ1枚づつ表情を変えます。

やりがいと売上の両立

しょうゆペーパーを作り始めるきっかけは10年ほど前のこと。松本醤油の松本さんから「醤油を絞った後のもろみを使ってみませんか?」とお誘いを受けて始まったと話してくれたのは、第3川越いもの子作業所の杉田さんと中西さん。
皆さんが掲げるルールの一番初めに書かれているのが「集中して仕事を頑張り、給料を増やす」こと。
現在はコロナ禍で受けた影響もあり、一律に12,000円の賃金を支払っているそうです。障害に応じて、うどんやパン作りができる方はもう少し高い賃金も受け取れるとのこと。だとしても、まだまだ低い水準であることに変わりはないと杉田さんは話します。
例えば[めぐる、手漉き紙。]の名刺を10名の方に使っていただくと、紙漉きの月の売上を3割増やすことができます。年間売上も、数十万円増やす計算になり賃金もアップできます。
醤油づくりのある地域から、その廃材を利用して作られた名刺がまた企業や地域で循環していくこと。この循環が大きくなるほどに、第3いもの子作業所の皆さんの売上にもつながります。
この名刺には、語りたくなるものがたりがある。そして、使われることで人から人へとめぐり続ける。一人でも多くの方に、しょうゆペーパーを使っていただけたらと思います。

しょうゆペーパー

【素 材】醤油粕+古紙
【厚 さ】0.6 - 0.8mm
【紙漉き】第3川越いもの子作業所