みそペーパー

With honke−nakamuraya

「みそペーパー」は、
広島県府中市が全国に誇る特産品・府中味噌の醸造元
「本家中村屋」と共に生まれたアップサイクルペーパーです。

400年前から今も愛される「府中味噌」

約400年もの歴史を持つ府中味噌。

生産地の広島県府中市は中国山地に囲まれた盆地で、醸造に適した気候風土、良質な原料、清らかな水がそろっていたため、江戸時代から白味噌の醸造が盛んでした。

古い記録には、奈良で開かれた博覧会で府中の白味噌が最高賞を獲得し、全国に名を馳せたとあります。さらに府中は旧山陽道と石州街道が交わる交通の要衝だったこともあり、府中味噌は参勤交代や商人の贈答品などに用いられたことで日本中に広がっていきました。

伏見、讃岐と並び、白味噌の三大産地に数えられる府中市には現在3つの醸造元があり、白味噌をはじめ赤味噌や中味噌などさまざまな種類を醸造しています。
府中味噌の特徴は、じっくりと時間をかけた天然醸造による香りの高さとまろやかな味わい。
また麹歩合が高いため塩分が少なく甘口で、健康志向の味噌でもあります。

紙の画像

手をかけて育てられた麹がおいしい味噌を醸していく

そんな府中味噌の蔵元の一つが、株式会社本家中村屋。
創業以来約80年間、国産・地元産の素材と加熱処理をしない長期熟成にこだわり、ふくよかな旨みと深いコクが自慢の味噌を作り続けています。味噌づくりの過程で発生した廃材を使った「みそペーパー」は、同社のご協力によって生まれたオリジナルペーパーです。
本家中村屋の三代目社長で、この道25年の味噌づくり職人・中村宏さんは「味噌の出来栄えは“麹”で決まる」と話します。麹とは、米や麦などの穀物に麹菌を繁殖させたもので、味噌の発酵・熟成には欠かせません。本家中村屋ではこの大切な麹を3日かけて作ります。蒸す、寝かせる、かき混ぜるなどの工程ごとに職人が長年培った経験で麹の状態を判断し、メンテナンスの行き届いた機械を用いて元気な酵母を育てていくのです。また本家中村屋の醸造蔵には酵母菌が棲みついており、独自の風味を醸す手助けをしてくれます。

中国から持ち帰ったレシピがあたらしい紙づくりに繋がる

本家中村屋の原点であり看板商品でもあるのが、麦味噌にナスとキュウリの自家製塩漬けを加えて1年以上熟成させた「金山寺味噌」。中村社長の祖父である創業者の中村只二さんは戦争で中国に行った際、現地の人から味噌づくりを教わったそうです。そして終戦間もない1946年、故郷・府中で本家中村屋を開業し、中国から持ち帰ったレシピをもとに金山寺味噌を作り始めました。
創業当時と同じ配合・製法を守りつつ、年々変化し続ける気候などに向き合いながら仕込まれる本家中村屋の金山寺味噌。長年のファンも多く、2018年の全国味噌鑑評会では伝統的地域特産味噌褒章を受章しました。三代に渡って受け継がれてきたレシピには180kgもの大豆を手作業で炒り、半分に割って皮を取り除くという工程があります。「みそペーパー」に使用しているのは、この金山寺味噌の製造過程で生じる大豆の皮です。
これまで、取り除かれた大豆の皮は全て廃棄されていました。当社が「地元の伝統産業である府中味噌の歴史や、作り手の想いを伝える紙を作りたい」と相談した際、中村社長が「炒って水分を飛ばした大豆の皮は紙の素材に適しているのではないか」と提案してくださったことから、大豆の皮を漉き込んだ紙づくりがスタートしました。

伝えたいのは、作り手たちが紡いできた物語

出来上がったのは、大豆の皮の色合いや質感が活きた素朴な風合いの紙。日本家屋に用いられる土壁のような雰囲気があり、手に取る人に温かみを感じさせてくれます。
完成した紙を見て、「想像以上にキレイな仕上がりで、今まで廃棄していたものが役に立って良かった」とほほえむ中村社長。炒った際にできた焦げ目がところどころに見て取れ、本家中村屋の歴史や味噌づくりへの矜持に想いを馳せることができます。
「みそペーパー」から、府中味噌の作り手たちが紡いできた物語を感じていただければ嬉しいです。

本家中村屋の味噌づくりで発生する廃材を手漉き紙に生まれ変わらせてくれたのは、大阪にある就労継続支援B型『紙好き交流センター ひかり』。作業所の利用者さんたちが一枚ずつ、丁寧に漉き込んでくださっています。
「府中味噌ペーパー」に利用している炒り大豆の皮には、油分が含まれています。紙漉き作業時に油分が水を弾いてしまわないよう、ミキサーで撹拌して水分となじませます。
これまでにも焼酎やビール製造に用いられる麦など、食品工場で発生する廃材を使った手漉き紙を数多く手掛けてきた紙好き交流センター。そのノウハウを活かし、大豆の質感や焦げ目などを残しつつ、印刷の文字がのりやすい紙を作ってくださいました。

みそペーパー

【素 材】大豆の皮+古紙
【厚 さ】0.6 - 0.8mm
【紙漉き】紙好き交流センターひかり